法学部の取り組み紹介②
産経大法学部では、令和6年度もゼミを中心とした様々な活動が実施されております。ここでは、法学部の取り組み紹介①に引き続き、今年度前期に実施されたものの一部を紹介させていただきます。
1.独占禁止法教室の実施
法学部では、毎年、新入生を対象に、公正取引委員会の方から直接、お話をしていただいております。今年も、民法の授業の一環として、「公正な取引とは何か」を学生たちに考えてもらいました。
実施は6月上旬になされたことから、法律を学び始めた大学1年生には難しいのではと思いましたが、授業後の理解度確認では、高いレベルでの論述が多かったです。
学生からの感想の一例を紹介させていただきます(一部抜粋)。
「公正取引委員会の不断の努力により、日本市場・経済の秩序が保たれていることを本講義を通して身近に感じることができました。日々、業務に当たられている職員の皆様に感謝します。また、さらに公正取引委員会の活動に関心を寄せることで、日本市場・経済の秩序維持に微力ながら協力できればと考えました。」
宮崎で唯一の法学部としての使命を担う新入生達が頼もしくなりました。
<独占禁止法教室の様子(令和6年6月撮影)>
2.産経大法学部ゼミ紹介
今回は、公務員試験希望者に人気の甲斐ゼミと、憲法の青木ゼミ、それと模擬裁判を実施しているゼミについてご紹介させていただきます。
(甲斐ゼミ紹介)
公務員志望の多い地方創生のゼミでは前期には毎年県議会を訪れ一般質問が行われる本会議を傍聴しています。最新の県政の課題について知事をはじめとする執行部と県議会議員との間で質疑が行われるからです。
このゼミでは他にもその年々の社会的課題について学習するために、毎年関係先を訪問しています。昨年は南海トラフなどの防災学習のために宮崎県危機管理局を、一昨年はコロナ禍における観光産業の現状と支援策の学習で宮崎県観光協会を訪問しました。今年は全国的な社会問題となっている事業承継についての学習のため、宮崎県事業承継・引継ぎ支援センターを訪問予定です。
(青木ゼミ紹介)
憲法分野を専門とするこのゼミでは、普段、最高裁判所やその他の下級裁判所で争われた裁判例(判例)について学習しています。古くは昭和30年代のものもあり、いずれも、日本の社会の在り方に大きな影響を与えてきたものばかりです。
社会というものは、何が正しいのかが最初から分かっていてその通りに作り上げるものではなく、何が正しいのかがはっきり分からない中で、試行錯誤しながら作られてゆくものです。憲法が関わる判例は、そうした試行錯誤の過程のひとつでもあります。
例えば、近年の夫婦別姓訴訟や同性婚訴訟は、当たり前に存在している「結婚」という制度について、本当に名字を統一させる必要があるのか、異性間でなければ成り立たないものなのか、という点を問い直す機会を与えてくれました。こうした「当たり前」を問い直すことで、社会は、少しずつ発展していきます。
(宮田ゼミ紹介)
現在、雨宮ゼミとの合同ゼミで模擬裁判を実施しています。学生たちがそれぞれの主張を考え、自分たちで証拠の意味を考え、一からやりとりを考えています。
検察側と弁護側のせめぎあいの雰囲気も出てきました。どのような判決が出るのか、興味深いところです。
来年度は、法廷教室もできることですし、民事裁判も試みるなど、さらに進化していければと考えております。
3.法律資格取得をめざす学生へのさらなるサポートの充実を!
近時、法学部では、宅建士試験受験希望者が増加するとともに、司法書士試験や行政書士試験、裁判所事務官、家庭裁判所書記官等、よりレベルの高い法律専門職試験に興味をもつ学生が増えています。産経大法学部では、最終的にどのような進路を選ぶかはわからないとしても、「せっかく大学に入ったのだから、自分を高めるチャレンジをしてみたい」という学生を、今まで以上に全力で応援したいと考えております。例えば、令和6年度後期からは、宅建士試験対策の科目を新設し、現在、50名以上の1年生が受講しています。また、来年度には、司法試験予備試験や行政書士試験、司法書士試験等の資格試験の受験や裁判所事務官などの法律職をめざす学生に対応する科目の新設も予定しており、これまでの学内塾と連携して対応していきたいと考えています。
また、難関資格に興味のある学生を対象に、インターンシップのサポートも実施しています。今年度は、夏休みに、司法書士事務所のご協力を得て、3か所ほど、インターンシップに行かせていただきました。参加した学生は、皆、「普段の勉強では学ぶことができない貴重な体験ができた」と学習意欲を高めておりました。これまで、法律職はなかなかどのような仕事をするのか、具体的なイメージがわきにくいところがありましたが、低学年の方にも積極的に業務内容を知る機会を得ることで、大学に入ってからの「やる気」と「モチベーションの継続」が可能になると考えています。産経大法学部では、学生の「チャレンジしたい」というやる気を応援しております。
文責;法学部教授 宮田浩史